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  • 執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

都内の高級タワマンを“私物化”する、女理事長「暴走の一部始終」…ママ友を巻き込み「フロントに食ってかかった」



 2024年6月5日の現代ビジネスの表題の記事を紹介します。


電気代をめぐる、管理組合のトラブル

 円安も進み、物価やガス代、電気代などが高騰している日本。そのなかでも最近とりわけ注目を浴びているのが電気代の値上がりです。過去数年と比較すると著しく値上げされ、これに政府は電気代・ガス代高騰対策として「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を実施してきました。しかしそれも今年6月以降は終了するため、今後電気代の高騰が家計を直撃すると危ぶまれています。

 現に一般のマンションでは共用部分の電気料金はうなぎのぼりで、単年度収支では赤字なることが多く、電気料金削減の相談件数が以前よりも多くなりました。さらにエントランスホールにエスカレーターが設置され、内廊下のあるホテルのような大型のタワーマンションではこの影響をまともに受けています。こういったマンションでは快適な空調設備はもちろん、噴水・人工せせらぎ・滝などの高級感を演出する水景が備えられており、それらを維持する電気代が前年よりも2,000万円増えた、3,000万円増えて予算オーバーしたという話も珍しくありません。

 一見、そのような資産価値の高いマンションに暮らす人は、物件を買えるだけのステイタスやお金にも余裕がある方が暮らすと思われがちです。しかしながらひとつの棟に何百人、何千人と住む集合住宅。各居住者のほとんどが同じ所得、価値観であるわけがありません。そしてその格差によってもトラブルが発生します。

 先日もホテル仕様のタワーマンションで輪番で理事になった酒井さん(仮名)から、これら電気代などの高騰をめぐるトラブルの相談がありました。


 トラブルのきっかけはこうです。酒井さんがお住まいの築15年のマンションの総会で、昨年に適切な手続きで決議された大規模修繕工事に対し、

「管理会社の言いなりに多額の費用を支出した」「当初の予算額は6億円だったのにいつの間にか11億円になっていた」「管理費や修繕積立金は組合員の大切な財産なのでもっと節約に心掛けてほしい」「管理会社は、理事会をそそのかすようなことはしないほしい」

と役員と管理会社のフロントに食ってかかった女性(以下、Aさん)がおり、方針に納得のいかないAさんが、管理費等の支出削減と管理会社にリベンジにするために『管理会社の変更』を掲げてマンション管理組合の理事長に立候補したのです。


管理組合の「私物化」がはじまった

 さらに、組合運営と管理会社に同じ不満を持つ5名のママ友を集めて理事に立候補させ、合議制で決議される理事会の過半数をAさんの息のかかった人たちで固めました。

 酒井さんがお住まいのマンション管理組合は、理事9名、監事1名で構成されており、総会でAさんと5名のママ友、そして輪番の3名と監事1名が賛成多数で可決承認され、役職を決める第1回目の理事会でAさんが理事長に選任されたそうです。

 酒井さんも理事会で重要なポストの副理事長に立候補しましたが、それは無視され、Aさんのママ友が就任して、まさに理事会を“意のままに操る舞台”が整ってしまったといいます。

 理事長になったAさん、そして5名のママ友たちはそこから管理委託費の見直しとして

・防災センターの深夜の警備員の人員削減

・午前中のコンシェルジェの在勤時間を廃止

・エントランスホールのBGMの契約解除と温度設定を送風のみに設定・共用廊下や階段の間引き

など

 組合員の思いとは真逆の理不尽な費用削減の提案。それらは次々とされて決議していき、さらなる暴走がはじまりました。


 円安も進み、物価やガス代、電気代などが高騰している日本。そのなかでも最近とりわけ注目を浴びているのが電気代の値上がりです。特にエントランスホールにエスカレーターが設置され、内廊下のあるホテルのような大型のタワーマンションではこの影響をまともに受けています。さらにこの高騰によってマンション管理組合と住民とのトラブルも頻発しています。

 酒井さん(仮名)が住む築15年のタワマンでは、管理組合の運営に不満をもった女性(以下、Aさん)が組合をのっとり、マンションにかかる維持管理費のコストを減らす提案を次々に決議させ実行に移しました。コストカットはAさんの独断ですべて主観的なもの。酒井さんは輪番で理事になっていたもののAさんとそのママ友たちのあまりの圧に何も言えない状態だったといいます。


住民の声に聞く耳を持たない理事長

 Aさんらの主張は、「コンシェルジュが長時間受付にいるには無駄」、「エントランスホールのBGMは誰も聞いていない」、「エントランスの温度が多少寒かろうが、暑かろうが、部屋への通り道なだけなので我慢できる」といった主観に基づいたもので、マンションの資産価値やそこに暮らす他住民に対する配慮も客観性もありません。

 当初は、Aさんの独断が専横する理不尽な理事会に酒井さんほか、輪番で理事になった3名と監事1名理事会も出席していましたが、その圧力に屈して発言すらできない状況で、その後酒井さん以外は理事会を欠席するようになっていったそうです。

 暴走ともいえるAさん率いる理事会の専横に、全戸に配布される理事会議事録を見たほかのマンション住民たちから多くの反対の意見書が寄せられました。

「マンションの共用部分の快適性や安全性を維持していくために管理費は必要な費用です」

「このマンションは、8千万円~9千万円で取引されている都心での快適な生活できる魅力的なマンションなのに公営住宅以下のサービスは許されない。資産価値が低下する」

「エントランスホールロビーのソファなどの応接セットで来客との打ち合わせしたが暑くて来客者に対して恥ずかしく申し訳ない気持ちになった」

「ゲストルームのエアコンの温度調節ができないように、セロテープが貼ってあったすぐにはがしてほしい、ケチ臭い」

「深夜、漏水事故が発生して防災センターに駆け込んだが、警備員は一人しかおらず、その警備員がほかの事件に対応していて連絡が取れず部屋が水濡れになった」

「共用廊下が夜、薄暗く防犯上問題ではないのか、我が家の前の照明だけでも何としてほしい。娘は 帰宅の度に非常に怖い思いをしています」

 このような苦情が殺到し、酒井さんと管理会社の担当者も「マンションの品格の低下」危惧して助言をしますが多勢に無勢。Aさんは聞く耳は持たず、それどころか「今度は管理会社を変更します」といわれた管理会社の担当者までが理事達の味方に付いてしまったため、酒井さんはかなりのショックを受けてしまい引っ越しすることまで考えていると吐露します。


トラブルにならないための手続き

 酒井さんを悩ませている理事会暴走の対処法としては、標準管理規約第44条(組合員の総会招集権)を行使することができます。


【組合員の総会招集権】組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。


 この規定に基づいて、理事長に対して『理事長など6名の理事の解任請求と新たな理事の選任』の会議の目的を示して組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求することができます。

 理事長が通知を発しない場合に請求した組合員が臨時総会を招集することができます。手続きは、少し面倒ですが組合員の総会招集権を行使することで安心、安全快適なマンションライフを取り戻すことができます。

 では、このようなトラブルにならないために、一体どういった手続きが必要なのでしょうか。

 最近では水銀ランプや蛍光灯照明器具の生産を各メーカーが中止する方向に加え、政府が2020年を目標にLED化を進める方針を決めたことで省エネを図っているマンションや、共用部を格安電力会社に変更しているマンションも少しずつ増えています。

 マンションでも電気料金の削減には、電気代が安い電力会社への変更や電灯をLEDに変えるなど、一般家庭でもよく行われるような対策が講じられています。これらは各家庭では簡単に変更ができても、マンション全体となると大がかりな承認が必要です。


全住民の同意を得ることは至難の業

 まず、マンション全体で電力会社を変更するには、「共用部分だけ電力会社を変更する方式」とマンションの専有部分と共用部分の丸ごと変更する「一括受電方式」の2種類あります。

 後者の一括受電方式は、管理組合がマンション1棟分の電気を一括契約(高圧契約)し、各戸の専有部分の電気を低圧に変換して供給するものです。

 従来のようにマンション居住者が各自で電力契約(低圧単価で購入)するのではなく、マンション全体で一括契約(高圧単価で購入)する事で、単価の安い高圧電力で契約して、単価差を捻出する事で、電気料金の削減を可能とする方法です。しかしこれには、居住者各自が電力会社を変更することができなくなるデメリットもあります。

 これまでの方式から一括受電方式に切り替える場合には、高圧受電設備を設置や電力会社との契約も変更になるので、そのマンションの居住者が合意しないと進めません。そのため管理組合の総会決議事項となっていますが、総会の決議で承認されたからといって、すぐに変更はできません。一括受電方式では管理組合がマンション1棟分全部の各住戸の電気を一括契約で変更するので、各住戸の専有部分は現在の電力会社との契約の解約手続きをしなければなりません。さらに新たに電力会社との契約もあり、実質的に住戸全員の承諾(協力)が必要になります。

 総会は通ったものの一人でも反対者がいてその人の協力得られなければ一括受電方式に変更できないです。

 実際あった事例ではマンションの居住者の中に、電力会社の社員やそのグループ会社の社員が住んでいて、スムースに一括受電方式に移行できない場合もありました。そのため総会決議後、何年も一括受電方式変更できないマンションもあります。

 総会決議に従わない組合員に対して「共同の利益に反する行為」として反対者が裁判沙汰になるケースもあり、全住戸の同意を得ることは至難の業です。一方、共用部分の電力会社だけを変更する方法は、マンションの各住戸の電力会社に影響が及ばないので、総会の普通決議で承認可決されれば直ちに変更が可能です。

 消費電力を抑えためにエントランスホールや集会室、ゲストルームなどの共用部や共用施設のエアコンの温度調節をマメに行ったり設定温度を変更したりするマンションや共用廊下、避難用の外階段の照明灯をところどころ間引いてゆくマンションもあります。

 しかし、照明を間引きしすぎると先にお伝えした酒井さんの事例のような「いかにも貧窮しているマンション」という印象を与えるためトラブルになります。マンションは、『住人十色』様々な価値観をお持ちです。価値観は押し付けないことが何より大事だと考えています。」


 理事会の私物化は、他のマンションでも往々に発生します。ただし理事会で決めたからと言って、すべての物事が決まるわけではなく、重要な項目については、組合員全員の投票による総会決議が必要です。この記事のようなマンションであれば、まずは理事会に立候補して、無茶な決議には理由を説明して毅然と反対する。尚且つ、その反対意見は議事録に残してもらうことや、あまりにも目にあまるような振る舞いがあるのであれば、監事に相談して、理事長罷免の臨時総会を開くことや、この記事にあるような組合員5分の1以上の同意による臨時総会の開催等が挙げらえます。どちらにしても、自分ひとりでは出来ないことなので、マンション内で仲間を募って、行動をおこす必要があります。


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