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執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

アプリでご近所付き合いが復活! マンションや自治会、住む街のコミュニケーションの悩み解決の救世主に 「GOKINJO」「common」

更新日:2024年6月24日



 2024年2月2日のSUUMOジャーナルの表題の記事を紹介します。


「同じマンション内や近所に住んでいても、なかなか隣人の顔が見えにくいのはよくあること。「コミュニティ醸成型サービス」とは、同じ街やマンションに住む人限定のプラットフォームで、簡単にリアルタイムでコミュニケーションできる機能を備えている。地域コミュニティを支える基盤として、コロナ禍以降、存在感を増している。「日本DX大賞」UX部門 優秀賞を受賞したマンション・自治会の住民限定コミュニティ醸成サービス「GOKINJO」と、東急運営の地域共助プラットフォームアプリ「common」を取材。コミュニティ醸成型サービスの最新事例を紹介する。

ご近所で多世代交流できるきっかけをアプリでつくる(画像提供/コネプラ)


マンション等の住民限定で近所付き合いができるアプリ「GOKINJO」

 新型コロナウィルス流行の前後に登場した各社のコミュニティ醸成型サービスは、地域情報の共有を促し、住民同士の共感を育てる機能があり、利用することで暮らしが豊かになるよう設計されている。

 株式会社コネプラが運営するGOKINJOは、マンションなどの住民限定で、程よいご近所付き合いが出来るサービス。街やマンションの資産価値向上や防災力アップに繋がるサービスとして、タワーマンションから戸建て分譲地の自治会まで幅広く導入されている。

子どものお下がりや日用品を住民間で気軽に無料でシェアリング・リユース(画像提供/コネプラ)


 サービスの構想がはじまったのは、2019年に募集された旭化成グループの社内コンテストがきっかけだった。最終プレゼンを経て実証実験を行い、初の社内ベンチャーとして2022年4月にコネプラが創業された。開発に関わったのは創業メンバーのCEO中村磨樹央さん、CTO森屋大輔さん、マーケティングディレクター根本由美さん。中村さんと根本さんに企画の背景や開発の経緯を取材した。

左から中村さん、森屋さん、根本さん(画像提供/コネプラ)

老若男女を問わず、多くのユーザーに愛用されていることが評価され、DX推進を加速させるDXコンテスト「日本DX大賞2023」で、全国から応募のあった100を超える企業、自治体、公的機関、大学からUX部門 優秀賞を受賞(画像提供/コネプラ)


「構想の元になったのは、私と森屋が知り合った時、森屋がつくっていた子どもを保育園に入れる保活をしているママ同士を繋げるサービスでした。保活情報を頑張って勉強して集めても入園したら必要ない。一方で、保活中のお母さんはその情報をすごく欲しがっている。Aさんが不要となった知識や経験は、Bさんにとっては必要なものにも関わらず、価値交換の仕組みがこのような狭小地域社会においては機能していませんでした。特に子育て中の女性やシニアなど資本主義社会から分断されがちな人たちをケアしながら、地域での価値交換を機能させるサービスをつくろうと話し合いました」(中村さん)

 その後、プロジェクトに加わった根本さんは、11年ほど自社ブランドの住宅設計に携わってきたが、「お客様の暮らしを見ている中で、物やスキルを持て余していて役立てる場所がない方が多いと感じていた」と同じ課題感を抱えていた。

 そこで、特定地域内で「信頼できる相手」とつながり、無形の遊休資産活用に結び付ける現在のGOKINJOのプラットフォーム開発に着手。シニアにも使いやすいUI開発に苦心し、古い「らくらくフォン」等のシニア世代が所有する機種をテスト用に数台購入し、操作しながら開発にあたった。

 2020年9月から、分譲マンションでGOKINJOの運用がスタート。開始時のGOKINJOは、気軽な情報をやりとりできる「情報交換」機能を搭載。その後、「お譲り機能」、「お助け」機能、「お知らせ」機能、「コイン」機能が追加された。

「不要な物をあげてお金をもらうより、ありがとうって笑顔をもらった方が嬉しいという方は少なくありません。お譲り機能では、子どものお下がりや日用品を無償でシェアリングしたり、住民間でリユース出来る場を提供しています。コイン機能は、貨幣経済に乗らないコミュニケーションを表現するために開発しました」(根本さん)

ニックネームなど匿名で利用でき、多世代間で情報交換が盛んに行われている(画像提供/コネプラ)

マンションの住民間で譲渡する品物を、ゆるく受け渡しできるキャビネも提案。部屋番号を明かさずに、気軽にモノのやり取りができる(画像提供/コネプラ)


 マンションの住民は、アバターや画像を選び、ニックネームを登録、パーソナル情報で「2歳の女の子がいます」「ランニング好き」など自由にプロフィールを公開設定できる。顔はわからなくても、「こういう人が近くに住んでいるんだな」とわかる。アプリ利用者は居住者のみで、また、コネプラが管理・運営を行ってくれるので、匿名不特定多数のSNSにはない安心感があると好評だ。


アプリ上住民同士で問題解決が進むなどマンション運営上のメリットも

 GOKINJO は2023年11月10日現在、12箇所の分譲マンションや分譲地で使用されており、利用住戸数は、約2000戸、ユーザー総数は約3300人。20代から90代まで多世代に支持され、順調に導入物件を増やしている。


GOKINJOを導入したマンションの理事の声を紹介しよう。

 新築で導入した東京都板橋区のマンション(約230戸)は、開始3年で住民の91%330名が利用している。30~40代の理事からは、「潜在的意見が出やすい」「理事会活動の可視化が図れる」という声がある。大阪市にある築8年のマンション(約280戸)では、住民の72%にあたる286名が利用。30代理事は、メリットに、「子育て世代に必須な近所の情報がわかり、譲り合いもできること」を挙げている。

 アプリ投稿を組合運営に役立てたり、住民が情報交換することで問題解決できたり、居住者がランニングクラブを立ち上げ、GOKINJOを通じて集まったメンバーで練習・マラソン大会に参加するなどアプリからリアルへ展開したケースもある。お金で買えない体験は、マンションの価値向上にも繋がっている。

「壊れていた自転車置き場の空気入れを買い替えませんか?」という投稿に寄せられた使い勝手のいい製品の情報を管理組合に提案、共同購入に至った例(画像提供/コネプラ)

マンション以外では、分譲後30年が経過した佐賀県基山町けやき台の分譲地に導入。登録者のうち70%が年齢60代以上。掲示板をデジタル化するなどタイムリ―な情報発信で交流が活発に(画像提供/コネプラ)


 居住マンションの元理事で、GOKINJOを導入するきっかけをつくった奥井亮佑さん(30代)に詳しく伺った。

「2022年1月に、居住マンションの理事になり、マンション情報のデジタル掲示板づくりに取り組んでいるとき、GOKINJOに出会ったんです。課題解決の手段として理事メンバーで導入を検討し、半年間の検証期間を経て、採用に至りました」(奥井さん)

 奥井さんは、GOKINJOを毎日利用するヘビーユーザー。「日次で情報が更新されますので、それを見るのが毎日の楽しみ。自分の投稿にたくさん『いいね』がつくと嬉しいです」と話す。

 たびたび利用するというお譲り機能を利用して、子ども用の衣服、おもちゃ、電子機器などを譲渡した。マンションでは、年2回GOKINJOのお譲り機能をもちいたバザーを開催している。GOKINJOと組み合わせることで自宅に居ながら出品物をスマホで確認でき、大変便利だと大人気に。苺ジャムの蓋が固すぎて開けられなかった時、お助け機能タブでSOSしたというユニークな使い方も。マンションの中で、力自慢の人を募る投稿をしたところ、数分以内に立候補コメントが続々届きびっくり。集会室で公開開封式を実施し、無事に苺ジャムを美味しく食べることができたという。

「マンション居住者と挨拶する機会が増え、マンション全体が明るくなった気がしますね。アプリを通じて知り合った方々と、一緒にイベント(ゴルフコンペや、飲み会)の企画もするようになり、同一の趣味を持った知人が増えて、楽しいマンション生活を送れています」(奥井さん)

 地域と連携した仕掛け(地域クーポン等)を使って、街を盛り上げることができるのもメリットだ。これからのGOKINJOに期待するのは、地域特化の防災情報の自動連係や、連携防災イベントの実現。理事会としても活用を広げていきたいと考えている。

GOKINJO導入のマンションではデジタルからリアルな交流へ発展する例も。マラソン大会や集会室でのボードゲーム大会など住民主体のイベントが開催されている(画像提供/コネプラ)


同じ街をフォローする住民同士が交流できる東急「common」

commonの利用イメージ(画像提供/東急)


 コミュニティ醸成型サービスには、同じマンションの住民に限らず、同じ街に住む人を対象にしたものもある。東急が運営するcommonは、投稿機能、譲渡機能、相談機能を搭載したアプリで、同じ街に住むご近所さんとの共助関係を生み出し、より良い街をみんなでつくるサービスだ。開発を主導した東急株式会社デジタルプラットフォームデジタル戦略グループの小林乙哉さんと池原雄大さんにプロジェクトの経緯を取材した。

小林さん(左)・池原さん(右)のお写真(画像提供/東急)


 不動産や鉄道、いわゆるハードの開発を行ってきた東急だが、少子高齢化などの課題解決のため、2010年代からソフトな街づくり、住民主体の街づくりを推進してきた。住民参加の街づくりを進める中で新たに生じた課題があった。

「二子玉川や池上などで住民参加や公民連携の街づくりに関わる中で、例えばイベントを実施した場合でも住民のごく一部の方しか参加していただけないということに気づきました。より多くの地域の住民の皆さまに何かしらの形で関わっていかないと解決できない課題が地域には多い中で、これまでの住民参加の街づくりのやり方の限界を感じました。また旧来の地域コミュニティが高齢化や担い手不足の問題を抱えている中で、デジタルを使って、新しい共助の仕組みをつくろうと2019年の末頃からプロジェクトがはじまりました」(小林さん)

東急が2019年に公表した長期経営構想のビジョン。CaaS(City as a Service)構想は、リアルな街づくりに加えて、デジタル技術を積極的に活用した新しい街づくりを目指している(画像提供/東急)


 地域に関心があってもきっかけがない、忙しくて関われない人は多い。そのような大多数の人たちに関わってもらえるような場をつくることがプロジェクトの使命だった。プロジェクトを進める中で、コロナ禍に突入。開発メンバーもテレワークになった。

「自宅にいる時間が長くなり、散歩をするようになってはじめて自分が暮らす街の魅力に気づいたんです。こんな素敵な景色があったんだ!と思った時に、同じ街に住む人同士で情報などを共有する方法が無いな、そういう場をつくれないだろうかと思うようになりました」(小林さん)

 結果的に、開発メンバーのコロナ禍の体験が、街の景色や出来事、食や防犯・防災の情報などを共有できる投稿機能の開発に繋がった。

なんていうことのない見慣れた風景が輝く一瞬。写真は、多摩川のマジックアワー(画像提供/東急)


 2021年3月、第1弾として二子玉川エリアでcommonの運用をスタートした。投稿機能のほか街の困りごとや疑問を解決していく「質問・回答機能」を提供。これらの機能を利用者が活用すると、街への貢献が数値として可視化される機能も搭載した。

街のどこで何が今起こっているかがわかるタイムラインとマップ ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)

相談に答えるなど街に貢献するとポイントがもらえる ※デザインは当時のもの(画像提供/東急)


「『同じ街に住む、働く特定多数の人とのコミュニケーション』を促進・活性化させるのが狙いです。2023年1月から対象エリアを東急線沿線全域に拡大しました。コミュニケーションできる範囲は、駅を基点とした生活圏単位に限定。二子玉川や自由が丘など駅名でエリアを提示し、好きな街、コミュニティに属したい街を選んでいただく形にしています。街をフォローする感覚が近いと思います」(小林さん)」


 理事会活動でLINEのグループラインで、意見交換や日頃のコミュニティ増進を図っている管理組合もありますが、このサービスは対象をマンション居住者まで広めた、いいサービスだと思います。マンションのメリットは多くの人が一か所に住むため、さまざまな情報や、物の受け渡し、シェアリング(共同利用)等ができることです。IT機器を使って、コミュニティの活性化までを諮れる仕組みを、各管理会社は積極的に提案して欲しいと思います。


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