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かつての「損切りタワマン」 イベント充実で湾岸を代表する存在に

  • 執筆者の写真: 快適マンションパートナーズ 石田
    快適マンションパートナーズ 石田
  • 4月8日
  • 読了時間: 4分


 2025年2月3日の朝日新聞デジタルの表題の記事を紹介します。


「「損切り物件なんです。良い買い物をしましたね」

 2011年5月、池崎健一郎さん(45)は、東京都江東区有明1丁目の中古タワーマンションの一室を買った時、売り主からこう言われた。

 東日本大震災から2カ月後だった。マンションは当時築3年。東京スカイツリーを望む高層階だったが新築時から3割近く値下がりしていた。投資用で持っていた売り主からすると、文字通りの損切りだった。

 当時川崎市に住み、都内に座って通勤したいと、有明地区で住まいを探していた。ためらいはなかったが「安いマンション」との評価に悔しさもあったという。

 マンションの総戸数は1085戸。3千人近くが暮らし、最上階の33階にはジムやプール、露天風呂やサウナ、バーなどの共用施設を備えていた。

 ところが、住み始めて半年ほどした同年10月、自分の誕生日にバーを訪れると、90席近いスペースにいるのは、バーテンダーと2人だけ。


 「立派なモノだけではすぐに飽きてしまう。じゃあ、僕がコトを起こそう」

 12年に立候補して管理組合の役員になり、次々と共用施設でのイベントを企画した。近隣の大学の先生を呼び全10回の経営学講座、バーベキュー、パブリックビューイング。

 13年にはマンションのオリジナルウェブサイトも立ち上げており、「更新するためにはイベントを続けないと」という意地もあったという。

 ただ、50ほどのイベントを企画したところで力尽きた。自身が風邪をひいた時、運営を引き継げる人がいなかった。ボランティアベースでは限界があると感じるようになった。

 気付いたのが、企業に任せて自走してもらう方法だった。

 バー運営業者は、コンサートを開催することで集客につながる。季節のメニューも載せた案内ポスターをエレベーターに貼ると、バーへの人の流れが出来た。コンサートは毎週土曜日の定番になった。

 プールの監視を担う業者にはスイミングクラブを運営してもらった。さらに居住者に講師がいることがわかり、ヨガやピラティス教室も始まった。

 19年まで管理組合の役員を計6期務めた。この間、イベント開催数は年間4回から250回以上、プールの利用者数は2・5倍、バーの売り上げは5倍になっていた。


 勤めていた仕事を辞めて21年、株式会社「新都市生活研究所」を設立した。今は仕事として、管理組合と、マンション共用施設で物販やマーケティングをしたい企業などをつなぐ。

 24年10月現在、都内と武蔵小杉のタワマンなど29棟(総戸数2万264戸)の管理組合と契約。旅行会社や飲料メーカー、地方自治体などから出展料を得て、住民は原則無料で参加できるイベントを開催している。

 「弊社と契約いただくとマンションの中で文化祭が定期開催されます」。そう営業するだけに、内容は多彩だ。

 地方自治体の特産品を使った一日カフェや、物産展、マグロ解体ショー、会員制ホテルの世界が学べるプライベートセミナー、超高級車マクラーレンの展示・試乗会、ビールや地元ワイナリーの試飲会など。

 池崎さんは常々、タワマンなどの大規模マンションでは、居住者同士や地域コミュニティーとの間に壁があり「都市の中の孤独」があることに危機感を抱いていた。

 実際、契約する中央区のタワマン住民約120人に「マンション内の近所づきあい」について、アンケートをとったところ「できている」という人は約1割にとどまった。

 一方で「近所づきあいを深めたいと思うか」という質問には、約6割は「深めたい」と答え、理想と現実のギャップがあることもわかった。

 起業の背景には、住民同士や地域のコミュニティー形成が、地震などに対する防災力を高め、マンションの資産価値も高めることにつながるという思いがある。

 投資家から「損切り」と言われた有明のマンションは、池崎さんが役員を退いたあとも後任の住民が管理組合の運営を続け、同社とも契約する。

 中古取引価格は新築時の2倍ほどになり、今や湾岸地域を代表するマンションの一つになっている。」


 折角の共用スペースも使わなければ何の価値もありません。この記事は、普段使われていない共用部を活用し、入居者の交流と、企業の販促とにうまく使っている例だと思います。

 企業にとっては、会場代や店舗が不要となり、入居者にとっては、様々なイベントが、マンションのコミュニティ活動の活性化に繋がります。このような活動を行う会社がもっと増えてくれればいいと思います。

 
 
 

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