top of page
執筆者の写真快適マンションパートナーズ 石田

25億円の見積もが8億円で済んだ…管理会社の「嘘の手口」と「本当はいらない修繕工事」



 2024年9月28日の現代ビジネスの表題の記事を紹介します。


もしあなたがマンション管理組合の理事になれば、管理会社から「修繕が必要」と言われ法外な値段の工事を要求されることになるだろう。カラクリを知らずに鵜呑みにしていると大損することになる。


調査報告書で嘘をつく

 老朽化マンションの増加にともなう維持・管理費用の高騰が社会問題となっているが、最近は、工事業者とグルになって法外な修繕費用をふっかけてくる悪徳管理会社も急増している。

 本誌3月9日号でその実態について詳報すると、直後から「情報提供」が殺到。マンション管理組合の理事や修繕工事の下請け業者から、「実は他にもこんな騙しの手口がある」という声が相次いだ。取材を進めていくと、「三大不要修繕」とも呼ぶべきふっかけられやすい工事があることが明らかになった。


1.配管交換

 匿名を条件に取材に応じた、関東圏でマンション修繕工事下請け会社を営むA氏は、こう声をひそめる。

「修繕工事でもっともおカネがかかるのが配管交換です。マンション全体の給排水管をすべて交換するとなると、一戸あたり最低でも100万~200万円となります。

 しかし、悪質な管理会社は自社の子会社や仲間内の工事業者に割高な見積書を作らせ、ただでさえ高い費用をさらに水増ししてくるのです。工事業者からは1~3%のキックバックをもらっているので、戸数の多い大きなマンションで配管交換をすれば、管理会社は数千万円ものキックバックを得られる」


巧妙な手口

 A氏は自身が実際に工事を請け負った事例も明かしてくれた。騙しの手口として一般的なのは、管理組合に見せる「特別レポート」を用意することから始まる。

「たとえばこんなものです」と、A氏は『排水管劣化診断調査報告書』と書かれた50枚以上に及ぶ資料を見せてくれた。診断されたマンションは東京近郊にある複数棟からなる築30年の大規模タワーマンションで、戸数は870だ。

 調査報告書の冒頭10ページは、調査の概要と説明が記載されている。残りの40ページ以上は、サンプリングされた管の診断結果が写真とともに続く。比較的きれいな管もあるが、多くはサビて汚れが付着している様子が撮影されていた。A氏が続ける。

「管理会社から『サビによる腐食で穴が空いたり、汚れで管が詰まったりする危険があります』と脅され、配管の交換を提案されます。このマンションでは『一番もろいところだとあと8年で穴が空く』と報告されていますが、真っ赤な嘘。私がこのマンションの管理組合から依頼を受け、セカンドオピニオンとして再調査した結果、サビの腐食はほとんどなく、一番もろいところでも、あと40年は持つ計算でした」

 この報告書では全館の配管交換が提案されており、一戸あたりの負担額は約300万円。870戸すべてで約25億円の見積もりとなっていた。

「そもそも、排水管はよほどのことがなければ故障しません。'00年以降のマンションでは、鋼を塩ビで加工したサビにくい管が使われていますし、それ以前の金属管でも汚れはほとんど付着しない。このマンションは本来、工事がまったく必要のないケースでした。

 管理会社もそれをわかってムダな工事を提案しています。これこそが管理会社の手口です。それは、この報告書を作ったのが管理会社の子会社ということからも明らかでしょう」(A氏)

結局、住民の希望もあり、A氏は管の内部をクリーニングする工事のみを実施。コストは一戸あたり100万円を切り、工事費の約8億円は修繕積立金から支出した。


ひび割れは問題ない


2.屋上防水

 排水管の水漏れリスクと同様に、管理会社が「事故になる」と脅してくるのが屋上防水だ。

 東京都にある築24年、50戸の中規模マンションで、管理組合の理事長を務める小川美樹さん(45歳・仮名)は、管理会社から「屋上防水にひび割れがあり、漏水の可能性があるため工事が必要」と言われた。

「管理会社から『調査レポート』という書類を見せられ、そのなかで屋上の状態がD判定(要工事)でした。修繕積立金は2000万円近くあったのですが、それを見た管理会社が『この際しっかり工事しましょう』と言って1200万円の見積もりを出してきたんです」

 修繕積立金の半分以上を屋上防水に使ってしまうことに抵抗を感じた小川さんは、知人を通じて別の工事業者に見積もりを依頼。その結果、同様の工事を560万円で済ますことができたという。

「管理会社は必要性の低い工事を提案してくることがある」と語るのは株式会社スマート修繕代表取締役の豊田賢治郎氏だ。

「管理会社が出してくるレポートで、ひび割れしているような写真を見せられることがあります。しかし、実際は材質の特性によってそう見えるだけで、問題ないことがほとんど。屋上防水は重層構造になっているので、表面が多少剥げていても水漏れすることはありません」


外壁補修も要注意!


3.外壁補修

 外壁補修もふっかけられやすい修繕工事だ。千葉県の築46年15階建てマンションで管理組合の理事を務める野上譲二さん(63歳・仮名)のケース。同マンションは管理会社の提案で、壁面4面のうち、外から見える2面を補修することにした。

「管理会社から『浮いているタイルがいくつもあり、いつ落下してもおかしくない。事故になったら管理組合の責任だ』と言われ、修繕工事を急かされました」

 しかし、管理会社が提示した見積書には5400万円という数字が。1社からしか見積もりを取っていなかったことに違和感を覚えた野上さんは、地元の工事業者にも見積もりを依頼した。すると約3300万円で同様の工事ができたという。


工事業者は自分で選ぶ

 管理会社は「タイルが落下したら危険」と言って修繕を迫るが、一級建築士でマンションコンサルタントの須藤桂一氏は「そのような事故はほとんどない」と言う。

「国土交通省の発表によれば、タイルの落下による人身事故は全国で年間10件にも満たず、死亡事故に関しては過去に1度しかない。そしてタイルの落下事故のほとんどは、人通りの多い街中で起きています。

 定期的に検査をして、必要な箇所のみ取り替えるだけで十分でしょう。まして壁面すべてを補修するような工事は、よほどのことがない限り不要と言えます」

 ここまで紹介したケースは、いずれも管理会社が利ザヤ欲しさに高額な見積もりを提示したケースだ。幸い別の業者に工事を依頼することで、金額を抑えることができたが、多くのマンションでは、管理会社の言われるがまま、喰い物にされてしまっている。

 では、具体的にどのようにして“予防”すればいいのだろうか。マンションコンサルタントの別所毅謙氏はこう解説する。

「なにより大切なのは、管理会社にすべてを任せないことです。業者の選定まで管理会社に依頼すると、身内の業者に割高な発注をして好き放題におカネを使われてしまう。実際の決定権は管理組合の理事会が有していますから、多少面倒でも管理組合が業者を探すのがいいでしょう。そうするだけでムダなコストをかなり抑えられるはずです」

 面倒だからお任せしよう—そうやって無関心でいると、いつの間にか自分の大切なおカネを管理会社にむしり取られてしまいかねないのだ。」


 私のところにも以前、ある管理組合から、「排水管の更生工事を管理会社から勧められているのだが、やった方が良いかどうか見て欲しい。」という問い合わせがありました。管理会社は、排水管内にサビが進行し、樹脂コーティングをしないと、排水管がぼろぼろになると言うのですが、実際にマンションの排水管を確認すると、トミジー管であり、排水管内部は樹脂製で、サビが発生するおそれはありません。また、内視鏡調査や、抜管検査の結果を見ても、サビ発生の兆候は見られず、更生工事は不要という報告書を作成し、管理組合に報告しました。

 築年数の古いマンションで排水管が鉄管であるマンションであれば、樹脂コーティングによる更生工事を実施するのは判りますが、排水管が樹脂管のマンションに、更に樹脂コーティングを勧める管理会社の態度にかなり不信を覚えました。

 このマンション以外でも、2件のマンションで樹脂管のコーティング工事を行ったという事例を聞いています。費用は60戸のマンションで1000万円、あるマンションでは施工後にコーティングの樹脂が剥がれたという事故もあったとのことです。表面がつるつるの樹脂管に、更に樹脂コーティングをして、密着するとは思えません。このような詐欺的な提案は即刻やめて欲しいと思います。


閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page