今回は屋上の防水工法の選定についてのお話です。屋上の防水工法では、アスファルト防水・塩ビシート防水・ウレタン塗膜防水の3種類の防水工法が一般的によく採用されています。以下それぞれの防水工法の特徴を記載します。
アスファルト防水工法
マンションや公共建築物で最も多く採用されている工法です。特徴としては耐用年数が20年程度と耐久性が高いことです。欠点としては、人の技量によって施工品質のばらつきが大きく、品質事故が起きやすいことと、施工時にアスファルトを炙って溶かして施工するために、臭いが発生することです。臭いの問題や火器を使わない目的で、冷工法も開発されています。また、既存アスファルト防水の上に、再施工する場合、重量が重いため構造的な検討も必要になります。
塩ビシート防水工法
シート防水工法は西日本で多く採用されている工法です。耐久性も高く、またシートを機械的に接着させる工法のため、品質の確保も比較的容易です。最近は15年防水保障の高耐久仕様の防水材料も開発されています。
ウレタン塗膜防水工法
液体のウレタン樹脂を流し込みウレタンが固まることで防水層を形成する工法です。耐久性は10年程度と、他の工法よりは落ちますが、屋上に平面が少なく、基礎等が多くある場合にお勧めの工法です。価格的にも、もっとも安価な工法となります。
まとめ
では、大規模修繕工事時にどの工法をお勧めするか?
まずは、新築時で採用された工法の部分補修をお勧めします。一般的には、大規模修繕工事は築12~15年程度で実施されます。アスファルト防水や塩ビシート防水の耐用年数は20年超。1回目の大規模修繕工事でやり替えるにはもったいないです。また、やり替えの場合は、防水層の上に防水層を重ねて施工するため、屋上の重量が重くなり、建物的にも良くありません。
屋上防水の漏水保障は10年のため、お金はかかりますが、大規模修繕のたびに新規にやり替えたいという管理組合もいらっしゃいます。その場合はウレタン塗膜防水によるやり替えをお勧めします。理由は耐用年数と防水保障の期間が共に10年であっていることと、重量的に軽量であり塗り重ねが可能であること。また価格的に安価であるためです。
また、最近は15年漏水保障の塩ビシート防水も開発されています。この防水工法を採用すれば、大規模修繕のたびに再施工することで、漏水保障が切れる心配はありません。
この他にも、外断熱工法や遮熱塗料の採用、ルーフバルコニー面の防水方法等、防水工事一つとっても、大規模修繕工事で考えることは様々です。改修工事には、改修工事ならではのノウハウが必要です。
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